ブラックバイト根絶を(一般質問②) |
(2)ブラックバイトをなくすための対策について
若者を使い捨てにするブラック企業のような違法・無法な働かせ方が学生アルバイトにも広がっています。私たちのもとにも「忙しくなった時、家に電話がかかって呼び出される」「シフトを断ったら次に入れてもらえなくなった」などの声が届きました。
今年5月、民青同盟滋賀県委員会が取り組んだ滋賀大学教育学部と瀬田駅前でのブラックバイトの実態調査アンケートにも「テスト期間中でもいつもどおりバイトを入れられる」「風邪を引いても代わりが見つからなければ休めない」「1日17時間働いても当然みたいな雰囲気だ」などの声が寄せられています。
これは非正規雇用の比率が現在は4割近くにもなり、かつては正社員が行っていたような仕事をアルバイトなど非正規に肩代わりさせる動きの中で、劣悪な労働環境が学生バイトにも広がった結果です。また、学生は親からの仕送りが減り、巨額の借金となる奨学金にも頼ることができないなど、学生生活を維持するためにバイトの収入を途絶えさせることができず、やめるにもやめられない現実があります。
将来ある若者がブラックバイトで学業や生活を脅かされ、無権利状態におかれている現状を放置することはできません。学生バイトであっても国や自治体は違法・脱法状態をなくし、適正な労働条件にしていく責任があります。大津市にも働く人を守る役割があり、県任せにせず、できることがあるはずです。ブラックな働かせ方から学生を守るため、大津市として何ができるのか、積極的な対応を求め、以下質問します。
今回の民青同盟が取り組まれたアンケートでいくつかの問題点が明らかになりました。
一つ目はブラックバイトが学生生活の障害となっていることです。先にも述べましたがアルバイトのために勉強に集中できない実態、また「『お前が一番下』など、他のバイトと比べられる」「『やめます』といったがやめさせてもらえない」など学生生活の障害となるだけでなく、人権をも侵害されていることが示されました。
①学生を含め、若者たちがどのような環境で働いているのか、大津市としてどう実態を認識しているのかお聞かせください。
【答弁】
これまで本市におきましては、いわゆるブラックバイトの問題に対し、実態調査を実施したことはございません。しかしながら、本市が実施しております労働相談においても休暇が取りにくいといった声などを聞いております。
【再質問】
滋賀労働局が実態調査している。連携して、実態調査を。
【再答弁】
議員のお述べのとおりですね、指導監督権限を有する労働局におきまして、このような調査については行うべきというふうに考えておりまして、市独自で行う考えはございません。しかしながら、我々常にですね、関係機関、これは労働局も含めまして、県それから大学ですね、大学の支援課等ですね、連携を取り合っておりますので、その中で実態把握のほう、努めてまいりたいと考えております。
問題点の二つ目はアルバイトをしている本人が労働法の中身を知らないため、違法な働かせ方をさせられていることがわからないということです。飲食店で3年近くアルバイトしている大学3回生のCさんは学費や生活費をまかなうため、週6日、1回5時間から17時間働いていますが、有給休暇もないと回答されていました。民青同盟のアンケートでは「賃金が1分単位で支払われる」ことを知らない人が76%、「アルバイトでも有給休暇が取れる」ことを知らない人が58%、「着替えや準備時間でも時給は発生する」ことを知らない人が78%でした。また、バイト代は15分単位で支払われているところが最も多く、中には30分単位といったところもありました。
②これらの実態調査アンケートからも労働法を守っていない事業所が存在することは明らかです。大津市として事業所に対して労働法を守るよう改善を求めることが必要と考えますが、見解をお聞かせください。
【答弁】
労働基準法を守っていない事業所への監督指導につきましては、労働基準法第101条に規定されている、労働基準監督官の業務であり、本市が事業所に対し直接改善を求める権限はございません。しかしながら、本市が実施しております労働相談等において、市内事業所における労働基準法違反の事実やその疑いのある状況を把握した場合には、労働基準監督署へ速やかに通報するなど、改善につながるよう努めております。
【再質問】
直接の権限がないと言うが、様々に働きかける方法はある。人権講座などを事業者に対して行っている。そういう機会も通じて働きかけられるのでは。
【再答弁】
議員お述べのとおりですね、本市で実施しております市内事業所向けの人権啓発研修会等もございますし、あるいは就職面接会というのもございますので、そういった機会を通じまして参加事業者に対しまして、労働管理に関するリーフレット等、こういったものについて配布をいたしまして啓発をしてまいりたいというふうに考えております。
問題点の三つ目は、声を上げることが非常に困難なことです。学生たちからは「アルバイトだから言える立場にない」「何か言ったらどう思われるか不安」「労働基準監督署には敷居が高く行きにくい」などの声があがっていました。現在、学生アルバイトの相談窓口としては労働基準監督署の総合労働相談コーナー、電話相談、メール相談がありますがあまり知られていないようです。
③アルバイトでの労働トラブルの際の相談窓口を広く知らせるため、大学などの協力を得てリーフレットの配布などの広報活動を行うことを求めます。見解をお聞かせください。
【答弁】
学生に対しアルバイトでのトラブルに関する相談窓口を周知しておくことは、学生が安心して働くために必要なことと考えております。このことから、県内の全ての大学が加盟する「一般社団法人 環びわ湖大学・地域コンソーシアム」に協力を依頼し、学生に対し厚生労働省作成のリーフレットを配布する等、周知に努めてまいります。
【再質問】
市は7つの大学と協力協定してる。そういうことを活用できないか、大学の掲示板にポスターを掲示することやホームページの利用など、前向きな広報活動を。
【再答弁】
先ほど答弁をいたしました、環びわ湖大学・地域コンソーシアムというのは、滋賀県の大学、すべてが加盟しているものでございます。この協議会、コンソーシアムを通じまして様々な依頼をしていくわけですけども、この中では、議員お述べのように、ポスターの掲示ですね、あるいは窓口にチラシ等リーフ等をですね、設置をしていただくというようなことも含めまして依頼をしていきたいというふうに考えております。
学生が働き方に疑問を感じたとき、気軽に相談できる相談窓口が必要です。京都市では市長の発言を踏まえ、今年の3月、市と労働局・京都府が連携してブラックバイト協議会を立ち上げ、ブラックバイト根絶に向け周知・広報の取り組みを強化し、市として4月からキャンパスプラザ京都の中にある「京都市若者就職支援センター」にブラックバイトの相談窓口を設置されたところです。
④大津市においても県や労働局と連携してこうした協議会を立ち上げ、市としてブラックバイトに関する相談窓口を設置するなど、積極的に取り組むべきではないでしょうか、見解をお聞かせください。
【答弁】
滋賀県や滋賀労働局とは日頃から連絡を密にしており、事業所が学生をはじめ、労働者に不当な労働条件を課す事案につきましても、その事実を把握した時点で情報を共有していることから、現時点において新たに協議会を立ち上げる考えはございません。
【再質問】
窓口は多いほうがいいと思う。学生が訪れやすいところ、たとえば大学と連携して大学内に相談できる場所を作ったり、大津若者ステーション内に相談窓口を作ることは検討できないのか。
【再答弁】
窓口が多いほうがいいのではないか、いうようなことでございますけども、これにつきましては学生でございますので、学生の場合は当然、大学にございます支援課等、これが活用されるのが一番身近ではないかなというふうに思っておりますけども、本市におきましても移動労働相談等を実施しておりまして、現在年間16支所で、年のべ48回実施をしております。こういったこともホームページ等でですね、広報に努めながら窓口相談、相談のしやすい環境、いうものを周知してまいりたいいうふうに考えております。
【再々問】
移動労働相談は、平日の昼間で学生が相談しにくい条件。実際年齢層が高い相談者が多いと聞いている。若者が行きやすい窓口をつくる方向で考えられないか。
【再々答弁】
先ほど答弁申し上げましたように、一番学生として相談しやすいのは、各大学にある学生の支援課というふうに考えております。しかしながら、先ほども述べましたけども、そういった労働相談等が常にどこでできるのかといったこともふくめまして、そういった労働相談のフリーダイヤル等ですね、こういったリーフレットも、そこに配布をしておりますので、そういった中で、相談が常にできる窓口をみなさまに周知したいというふうに考えております。
これまで述べてきました無法な働かせ方をなくすためには、労働者自らが自分の職業生活を守ることが大切です。そのためには働くための基礎知識や労働トラブルに際して問題解決策を見出す力など、中学・高校在学中に身につけられるよう、学校教育のカリキュラムの一貫として取り入れる必要があります。
⑤高校生はもちろん中学生に対しても労働に関する学習の場を設けることが必要と考えます。労働局や社会保険労務士などに授業に来てもらう出前講座など、労働基準法などの基礎知識を学ぶことに加え、働くことの意味や、疑問に思ったり困った時の相談機関についても学ぶなど、生徒たちが興味を持つ方法で、学習の機会を設けることに取り組んではどうでしょうか。見解をお聞かせください。
【答弁】
現在、市立中学校におきまして、社会科の公民分野で経済に関する学習を行っております。その中で、経済についての見方や考え方の基礎を養うことをねらいに、労働の意義や労働者の権利を守る労働三法、労働組合等について学習しております。また、キャリア教育の一環として、中学2年生の総合的な学習の時間に、5日間の職場体験学習に取り組んでおります。その中で、生徒が働くことの意味や社会への貢献などについて興味をもつことができるように、ゲストティーチャーを学校に招いて、講演をしていただいております。さらに、体験を通して働く意義やそのやりがいについて実感するなど、さまざまな方法で働くことについての学びを深めております。今後も、生徒が現代の経済活動や社会生活などについて一層理解できる学習や取組を、各中学校において進めてまいりたいと考えております。
【再質問】
大学生になればほとんどの学生はアルバイトの経験をする。しかしアンケートからも、学校で習ったはずなのにほとんどの学生は労働法を知らなかった。ブラックバイトやブラック企業が問題となり、多くの青年が苦しんでいる今こそもっとこの分野に力を入れ、さらに興味のある方法で充実したものを求める。見解を。
【再答弁】
ちょうど私も教科書を少し見ていて、学校の中でどんな形で授業されているのかいうのを調べました。そうしますと、いまの中学3年生の公民の教科書の中に、「フロアスタッフ(アルバイト)の募集」、その横に「保育士(正社員)の募集」というふうなことで、いわゆる正社員とアルバイトの違いみたいなものが、そこで教科書に載ってるわけですね。そしてその設問の中に、「アルバイトの正社員の違いについて話し合ってみましょう」というふうなことがあったりですね、具体の中で、その取り扱いが違ったりとかいうこととかですね、その他にも働くことの意義についてお互いに意見を出し合ってみようとかいうふうに、子どもが積極的に話し合いに参加する、いわゆるアクティブラーニングのような形で授業が展開されるように教科書で構成されています。こういうことを推し進めて、何よりもいま大津市の中学校で全員が参加しております職場体験学習、このことが実体験とともに働くことの大切さ、働くことのしんどさ、その意義を身体で感じて、それを持ち帰って子どもたちがそこで議論をし、考え方の交流ができたら、より良いものができるんじゃないかというふうに考えております。