議会質問①「介護保険制度改悪反対!」 |
.介護保険制度について
(1)「要支援外し」について
2014年(平成26年)6月に成立した「医療・介護総合法」は、「要支援1・2」と認定されて介護サービスを受ける人の8割が利用する、ホームヘルパーによる訪問介護、デイサービスなどの通所介護を保険給付から外すとしています。そのかわり、市町村が実施する地域支援事業に新しいメニュー(介護予防・日常生活支援総合事業=新総合事業)をもうけ、“代替サービス”を提供するというのが政府・厚生労働省の考え方です。しかし、この新事業は予算に上限がつけられ、自治体は給付費の大幅な抑制を求められます。
厚労省が7月に提示した新総合事業の「ガイドライン案」は、①「低廉な単価のサービスの利用普及」、②「認定に至らない高齢者の増加」、③「自立の促進」という3つのやり方で、事業の効率化を図るよう自治体に指示しています。
大津市は今会議での条例改正で、介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)を平成29年4月からおこなうと提案していますが、今後市町村の考え方が非常に重要になってきます。以下、実施に当たって懸念される点についていくつか質問します。
【質問】
国は「要支援の人のほとんどは専門的ケアを必要としない」といっています。私は、この間40箇所以上の介護事業所を訪問し、要支援の方が、介護保険の事業からはずされる問題についてアンケートをお願いしました。そのうち8割の事業所は、国のいう「要支援の人のほとんどは専門的ケアを必要としない」という考え方に対して「そうではない」と応えています。「ボランティアさんにヘルパーの代わりをさせることはできない。ヘルパーが行う援助は単なる家事の代行ではなく、利用者との関係を築きながら、生活援助を通じて心身の状況や生活環境に応じて働きかけ、生活の意欲を引き出し、今もっておられる利用者さんの能力をより伸ばすための働きかけを実践する専門職である。軽度と言っても認知症の初期症状や体の不自由さ、疾病など様々な困難を抱えており、ヘルパーの専門的援助を受けるなかで何とか在宅での生活が維持できている。」といわれていました。
大津市は、要支援の人に対する専門職の関わりの必要性について、どのようにお考えでしょうか。お聞かせください。
【答弁】
要支援の方につきましては、ケアマネジャーによるケアプランに基づき、日常生活を営むことに支障がある状態の軽減や悪化の防止を目的として、専門職によるサービス提供を受けておられることから、平成29年4月より実施予定の介護予防・目常生活支援総合事業におきましても、これまでと同様、専門職の関わりが必要であると考えております。
【質問】
また、アンケートでは「今までのように全国一律の保険サービスでなくて自治体任せでは、財政的に余裕のあるところとないところにサービスの差が出るのではないか」という心配の声も寄せられています。「要支援の方のサービスをなくしてしまえば事業所の経営は大変になる。一方でサービスを削られた要支援者は介護度が増すことが分かっているので援助せざるを得ない」などの悩みが出されています。
要支援者への訪問介護・通所介護を行っている事業所に対して、地域支援事業に移行することについての意見や要望などを聞くべきだと考えますがいかがでしょうか。
【答弁】
平成27年度に介護サービス事業者に対して、介護予防・日常生活支援総合事業についての意向等を把握するためのアンケート調査を実施したいと考えております。
【質問】
平成26年度(10月1日現在)大津市では要支援・要介護認定を受けておられる方は15152人、65才以上の高齢者全体の18.8%です。そのうち要支援1,2の人は4321人、約28.5%になっています。この人たちの約6割~7割がデイサービスやホームヘルプサービスを利用しておられます。利用者やご家族の方は、引き続きこれらのサービスが受けられるのかとても心配されています。大津市はこの間の共産党市議団の質問の中で、「今までと同じサービスの質を確保する」と言っていますが果たしてそんなことができるのでしょうか。「多様なサービス」の名のもとに「専門的サービス」を「安上がりなサービス」へ転換をすすめていくなかで、どうやって今までと同じサービスの質を確保していこうと考えておられるのでしょうか、お聞かせください。
【答弁】
現在示されております「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン案」において、現行の介護予防給付相当のサービスの実施基準については、これまでの予防給付の基準を基本とし、これ以外の多様なサービスについては、事業の適切かつ効率的な実施の観点から、市町村においてサービスの種類ごとに、事業者等が遵守すべき基準や単価、利用者負担を定める必要があるとされております。このことから、本市におきましては、現行の介護予防給付相当のサービスについては、これまでの質を確保し、低下することがないよう、予防給付の基準に準じて定めて参りたいと考えております。また、これら以外の多様なサービスにつきましては、他都市の状況を参考にしながら、実施する内容などの制度設計にあわせて、実施基準を定めて参りたいと考えております。
(2)特別養護老人ホームへの入所について
特別養護老人ホームへの入居者は原則「要介護3」以上に限るといわれています。2014年6月現在で特養待機者は1018名。介護保険実施時(2000.4)の9.6倍となっています。そのうち要介護1.2の方は221人です。国は要介護2以下の人についても必要な人については自治体が国に申請すれば可能であるといっていますが特別な場合に限られてくるでしょう。しかし第6期計画での特養の建設予定は120人分です。地域密着型の特養を合わせ余ても149人分であり、待機者のたった14.6%にしかなりません。政府、特養待機者の受け皿として、有料老人ホームやグループホーム、サービス付き高齢者住宅を考えていますが、いずれも低所得者・低年金の高齢者には高額で手が届きません。要介護状態になれば低所得・低年金の高齢者が入所できるところは特養しかなく、特養の整備こそ急ぐべきです。
【質問】
市は要介護高齢者の住まいについて今後どのように対応しようと考えておられるのでしょうか。
【答弁】
第5期で特別養護老人ホーム189名、グループホーム54名を整備したことに加え、'第6期においては、特別養護老人ホームを149名、グループホーム36名を計画しており、待機者の解消に努めております。施設整備につきましては、保険給付費に影響することから、介護保険料の上昇要素となり、高齢者人口の増加に伴う上昇分も合わせて考慮いたしますと、急速な施設整備は困難な状況でありますことから、第5期から取り組みを始めております、地域包括ケアシステムの構築を推進するため、住み慣れた地域で住み続けることができるよう、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスの充実などに努めて参りたいと考えております。
【質問】
特養の整備を進めると保険料にはね返ると言われますが、国に対して補助金の復活などを働きかけるなどして、多くの皆さんが希望している特養の整備を進めるべきです。見解をお聞かせください。
【答弁】
国からの補助金制度の復活につきましては、施設整備を計画する事業者の負担軽減を図れることから、機会を捉えて要望して参ります。
(4)第6期大津市高齢者福祉計画・介護保険事業計画案(ゴールドプラン)について
第6期大津市高齢者福祉計画・介護保険事業計画案には2015年度~2017年度(平成27~29年度)における介護保険事業を肇とする高齢者福祉施策の目標等が定められています。
*定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてお聞きします。
今年度は定期巡回・随時対応型訪問介護看護をおこなうと手を上げる事業所はありませんでした。採算が合わないからだと思われます。
【質問】
計画では来年度から毎年のべ利用人数200人の増加見込みとしていますが、受けてくれる事業所は見つかっているのでしょうか?地域包括ケアの充実をいうのであれば、地域で安心して住み続けるためは非常に重要な事業だと考えますが市の見解と実情をお聞かせください。
【答弁】
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、地域包括ケアシステムを構築するためには、効果的なサービスであると認識いたしております。第5期計画期間では事業者からの応募がなく、充足できなかったことから、引き続き第6期計画に位置付け、整備事業者の公募と併せて、介護、看護の人材を多く抱える事業者等に呼びかけるなど、先進都市の整備事例も参考に進めて参ります。
*介護保険料について
基準額の対象者は本人市民税非課税です。この人たちから月5150円の保険料を徴収していたのに来年度からまた19%アップの6150円はあまりに高すぎます。政府は来年度、低所得者に対して公費を1600億円あまり投入して、所得別の第1段階から第3段階まで約1000万人を対象に、最大で7割の減額を行うとしていましたが消費税10%の「先送り」を口実に、平成27年、28年度は最も所得の低い層(第1段階)だけを対象とし、減額割合も20%拡大する予定だったのを4分の1の5%にとどめました。これにより、第1段階は26.4%、第二段階は37.8%、第3段階は23.5%アップと、大幅な値上げとなってしまいました。低所得者に対する負担軽減は待ったなしの課題です。国が約束していた保険料軽減を見送ったため、自治体が独自減免を行うことは、住民の暮らしを守る上で当然のことではないでしょうか。市民の命と健康を守るために、大津市は独自で低所得者減免を行うべきです。厚労省は自治体が行っている保険料の減免に対し、①保険料の全額免除 ②収入のみの着目した一律の減免 ③保険料減免分に対する一般財源の繰り入れ、を不適切とする「三原則」を示していますが、この3原則は「助言」にすぎず、2002年の参議院厚生労働委員会で当時の坂口功労大臣が「自治体がそれに従うべき義務はない。自治体の主体性を尊重している」と明言しています。
【質問】
大津市は介護保険料について、市民生活の実態から見て負担が大きいと認識されておられるのかおたずねします。
【答弁】
高齢化の進展に伴う保険給付費の増加に伴い、介護保険料の上昇は避けられない状況となっておりますが、国においては、段階的に、低所得者への負担軽減措置が行われる予定でございます。介護保険制度は、国民の共同連帯の理念に基づき、要介護者等を社会全体で支える仕組みであることから、ご理解をいただきたいと存じます。
【再問】
負担が大きいと認識しているのか?
【再答弁】
介護保険制度は、被保険者・国・県・市町において負担割合が決められている。その中で国民の共同連帯の理念において介護者を国全体で支える制度であるため理解をお願いしたい。
【質問】
市として、一般財源を繰り入れて低所得者に対する保険料の引き下げを行うべきです。見解をお伺いします。
【答弁】
被保険者と国、県、市町村において負担割合が決められている介護保険制度では、低所得者の保険料軽減に一般財源を繰り入れることは、適切でないと示されており、国の制度において、低所得者に対する保険料の軽減策を継続すべきであると考えております。
【再問】
低所得2,3の人は国が軽減措置を延期したのでとてつもない値上げになっている。大津市が手立てを打つべき。一般会計からの繰り入れは適当ではないと言うが、国は自治体が行うことにはもの申さないと言っているので大津市の気持ち次第である。繰り入れ、引き下げを行うべき。
【再答弁】
国において段階的だが軽減策がされる。段階的でわかりにくいが3年通してみると実際はそう上がらないという状況もあるのでご理解願いたい。と共にこの点は周知に努めたい。
一般会計からの繰り入れについては本年1月16日に厚労省老健局介護保険計画課から、低所得者第1号保険者に対する対応について、保険料の全額免除・収入のみの着目した一律の減免・保険料減免分に対する一般財源の繰り入れ、について適当ではないと通知も来ているのでこれに基づいて対応していきたい。
【再々問】
不適切だという通知は助言に過ぎない。自治体の裁量で可能です。大津市の判断で入れないというのならまだ分かりますが、入れることができないという認識を持ってもらったら困る。国保も一般会計からは入れないと言っていたれど、本当に大変になりやむを得ないようになったらいれたではないか。介護保険も入れることができるという認識を持ってもらいたいがどうか。
【再々答弁】
国保を引き合いに要望をされましたが、国保と介護保険は違うのでこの点はご理解願いたい。制度上、被保険者の負担、国・県・市の負担割合によって成り立っている。国の判断に基づいて市も実施していこうとするものです。
*はり、きゅう、マッサージ施術費助成制度について
12月の定例会議で私ははり、きゅう、マッサージ施術費助成制度の削減はやめるよう求めて質問を行いました。質問後、匿名の手紙が届きました。内容は「質問ありがとうございました。私もこの制度の存続を強く希望します。予算だけのことで必要な制度が削られることがよい政治なのでしょうか?」といったものでした。今会議でも再度、同趣旨の請願と署名が提出されました。
【質問】
改めて市民の声に応え、現行通り月2回の助成を求めるものです。見解をお聞かせください。
【答弁】
11月通常会議において、御質問にも答弁申し上げましたとおり、助成回数の.月1回とする制度の見直しにつきましては変わりませんので、御理解を賜りたく存じます。
【再問】
1回への削減は変わらないと言うことですが、来年度の予算は審議中であり、請願書も出ていて今から審議がされます。しかし昨日おおつ広報を見たら、もう2回を1回にしますと書かれているではないですか。議会や市民を軽視しているのではないですか。どう考えるのか?
【再答弁】
基本的に変わらないのでご理解を。
第6期計画には、「はり、きゅう、マッサージ施術に対する施術費助成は、平成23年度から、事業の依頼をしている施術師会を2師会から3師会に増やし、施術の機会が少しでも増えるよう、市民サービスの向上に努めています。」と書かれています。にもかかわらず、目標値に触れているページには「助成対象を月2回から1回に見直します」と書かれているだけで、どうも矛盾を感じます。
【質問】
11月定例会議での私の質問に対し、「削減の代わりに介護者の支援制度として内部検討中」と答弁されましたが、これについては「介護予防や家族介護者の介護負担の軽減等を含めた新たな支援策を検討します」と書かれているだけで実施時期については触れられていません。これは平成29年までは行うつもりはないと理解していいのでしょうか、市の見解をお聞かせください。
【答弁】
新たな支援策の実施時期についてでありますが、新しい介護予防・日常生活支援総合事業の制度設計にあたり、現行の各種生活支援サービスを総合的に見直すことも含め、新たな支援策について検討して参りたいと考えております。
【再問】
答弁になっていない。市民サービスは低下させないとこの間言っているのに、削減だけ先に出すことは明らかにサービス低下ではないか。まだ代替え策が出ていないのであれば、
拙速な削減のみは反対です。県会をお聞かせください。
【再答弁】
第6期計画策定にあたり、高齢者福祉に関するアンケート調査、そして家族介護者に関するアンケート調査を参考にしながら介護予防だけでなく、家族介護者の負担軽減、そして心身のリフレッシュを図るための新たな支援策として他の中核市でのサービス事例も参考にしながら実施時期も含めて検討したい。