障がい者の住まいの確保について質問しました。 |
(1)(仮称)おおつ障害者プランの充実について質問します。
大津市では現在、来年度に向けて「大津市障害福祉計画(第5期計画)」と「おおつ障害者プラン(大津市障害者計画)」「大津市障害児福祉計画(第1期計画)」を一本化した「(仮称)おおつ障害者プラン」の策定に取りかかっておられます。大津市社会福祉審議会障害者福祉専門分科会の中で協議がされていますが、当事者・関係者の声が充分反映され、実態に見合った計画としなければなりません。
大津市は全国に先立ち「大津方式」を生み出すなど「福祉のまち大津」といわれ、他地域から移り住んでこられる方が今なおいらっしゃいます。この言葉が過去のものとならないためにも障がいがあっても「安心して住み続けられる大津」として全国に恥じない施策の充実を求めるものです。
現状は厳しく、施設整備も不充分であり、その充実を求めて当事者や保護者、関係者から切実な要望があがっています。
特に数年前からは、障がい者が自分らしく生活していける住まいの場が不足していることが大きな課題となっています。特に障がいの重度化や親の高齢化などにより自宅で介護が困難になった場合、次の住まいが簡単には見つからないのが現状です。大津市では入所施設は1カ所のみで50人の定員はいっぱいです。希望しても入所できずに、市外の施設に入所された方は123人にも上っています。国の方針により新たに入所施設を作ることができないため、グループホームなど住まいの場の整備が喫緊の課題となっており、特にこれからは高齢障がい者や精神障がい者、また行動障がいなど重度の障がい者にも対応できる住まいの場が求められています。
①市長は障がい者の保護者の方と懇談されたり、障がい者施設の訪問をされていますが、市長として「障がい者の住まいの場」についてどのように認識されているのかお聞かせください。
【答弁】
市長就任以来、市長ミーテイング等様々な機会を通じて、特別支援学校や福祉施設を訪問し、保護者や職員の皆様と意見交換を行いました。その中で、障害者が安心して暮らせる環境づくりは、これからの社会の中で大切な課題であると認識しており「障害者の住まいの場」についても、障害者施策を進めるうえで、重要な課題であると考えております。
【再問】
非常に不足しており、急いで整備する必要があるという認識は?
【再答弁】
障がい者の住まいの場について急いで整備をする必要があると認識しているかということについてでございますけれども、これらについては後ほど部長がご答弁申し上げますけれども、障がい者プランなど様々な計画の中で検討しているところでございます。
②来年度からの「(仮称)おおつ障害者プラン」における住まいの場のサービス見込み量についてはどういった認識のもとで目標値を設定し、整備計画を進めようとされているのかお聞かせください。
【答弁】
次期「おおつ障害者プランの策定」にあたって、障害者や障害福祉サービス事業所等にアンケート調査を実施し、あわせて「障害者自立支援協議会・住まいの場とりまとめ会」のニーズ把握等をもとに、目標値を設定し、グループホーム等整備を進めてまいります。
【再問】
計画は達成できそうな目標値ではなく、本当に必要な目標値にすべきで、そこに到達するために力を尽くすべき。また数値だけでなく、今課題になっている重度障がい者が利用できる住まいの場を作っていくべき。そういう考えを持って作成されているのか。
【再答弁】
次期おおつ障害者プラン策定でございますけども、現在数値目標については設定を協議をしております。その中でご指摘のとおり、数値目標だけではなく、その方策についてもきちっと検討してまいりたいと考えております。
(2)グループホームの充実について
自宅での生活が難しくなった場合だけでなく、障がい者本人が自立し、豊かな生活を送るためにもグループホームは重要な選択肢の一つです。大津市のアンケート調査でも今の暮らしを「変えたい」と回答した人のうち、3割以上の知的障がい者の方は「グループホームなど、仲間と地域で共同生活がしたい」と答えておられ、こうした声に応えることのできる施設整備が求められています。
大津市障害者自立支援協議会の調査によると、大津市内のグループホームは現在43カ所、160名を超える大津市民の方が利用されていますが、その待機者は2017年10月現在で167名にも上っています。
希望者が大きく増えているにもかかわらずグループホームの設置は思うように進まず、整備の必要性があることがわかります。
しかしスプリンクラーの設置が義務づけられたことにより、施設整備に多額の経費が必要となったこと、国の施設整備補助金(社会福祉施設等施設整備等国庫補助制度等)がこれまで以上に支給されにくくなっていることなどにより、グループホームの設置は進んでいません。今年度、必要に迫られた家族や関係団体などが、3カ所のグループホームを立ち上げ、その準備が進められていますが、いずれも10床以内であり、必要な人の受け入れには不充分です。
次にショートステイの1ヶ月あたりの利用者見込みと実績です。
大津市障害福祉計画によると、利用見込み、実際の利用者数とも増加していますが、実際の利用者数が見込みより少ないことがわかります。
ショートステイは生活訓練やレスパイト等の役割を担うものですが、現実は足りない入所施設やグループホームの受け皿にもなっています。
①市はこれらの状況をどう分析されているのかお聞かせください。
【答弁】
グループホーム、ショートステイともに利用者数より希望者数が多く、一定のニーズがあると認識しており、さらなる施設整備の必要性があると考えております。
現状は、施設やグループホームに入所できないため、その待機所としてショートステイを利用する、いわゆる「ロングショート」の方が増えてきており、実際受け入れられる人数が限られている状態です。現在ショートステイの施設3カ所で37床ありますが、緊急時のために空けておく分も含め、ショートステイ希望者の利用できる枠が、ただでさえ少ないのにさらに少なくなり、利用したくてもできない状態があります。
②グループホームの整備に市が本気で取り組まなければ、こうした状態は解消できません。見解をお聞かせください。
【答弁】
グループホームの整備は国及び市の社会福祉施設等施設整備費補肋金の対象となるため、当該補助金を活用した整備に努めております。
また、「障害者自立支援協議会・住まいの場とりまとめ会」において待機者リストを作成し、ニーズの把握に努めており、その整備について、引き続き法人等と協議してまいります。
【再問】
実態を3箇所のショートステイの事業所にお聞きしましたが、ロングショートの方が3カ所で7名程度おられ、それと合わせて緊急受け入れのために1~2床空けておく必要もあり、37床あっても実際は26、27人しか受け入れ出来ない状態だそうです。市はそういった実態を知っておられるのでしょうか?そうであればまずはグループホームの整備を急ぎ、ロングショートの受け入れを行い、ショートステイが本来の目的を果たせるようにするべきだと思いますが、その辺どう認識されているのかお伺いします。
【再答弁】
現在のショートステイの認識とグループホームの整備についてでございますが、ショートステイの整備についても一定整備が必要であると考えています。グループホームにつきましては、大津市がどの程度の本気かということですけども、例えば、先ほどもご答弁させていただきましたとおり、障害者福祉計画におきましてグループホームの整備量というのを位置付けております。これにつきましても一定の市町につきましてはそういった計画を持っておりませんでして、大津市におきましては障害者福祉計画にきちっと目標値を掲げております。あわせて先ほどもご答弁させていただきましたとおり、自立支援協議会におきまして、この住まいの場のとりまとめ会という形でグループホームの待機者リストというのを作成いたしまして、きちっと定期的に法人と協議をしております。これも全国的にもなかなか稀なところでございまして、引き続き自立支援協議会とも連携しながら、法人がグループホームの整備の促進がされるような環境整備もあわせて行って参りたいと考えております。
③グループホームの整備促進のために施設整備費や運営費の補助が必要と考えます。また、土地の確保についても困難な状況であるため、土地の無償貸与を行うなど、整備のためにあらゆる方策をとるべきだと考えます。見解をお聞かせください。
【答弁】
現在、国及び市の社会福祉施設等施設整備費補助金や重度障害者地域生活支援事業費補助金等を活用し、整備を行っております。
また、土地の貸付については、有償貸付等も含め、その可能性について検討してまいります。
【再問】それだけではなかなか不十分。湖南圏域では生活介護施設に関してですが土地の無償貸与や施設の設計費・運営費などに補助金を交付されている。大津市単独での補助金が出せないならどういう方法で支援できるのか。他にも競輪事業など民間の助成金などを活用して整備を進めておられる法人もある。事業所まかせにせず、情報の提供などもしてあらゆる方法を設立団体と一緒になって考え、整備を早急に進めるべきだと思いますが改めて見解をお聞かせください。
【再答弁】
法人まかせにせず、市も積極的に関わってということでございます。先ほどもご答弁させていただきましたけれども、決して法人にまかせて整備ということではなくて、障がい者の自立支援協議会ともうしますのは、ご承知のように、市も十分関与させていただいてその中でさまざまな方策について検討していくところでございます。住まいの会につきましても待機者リストを作成するだけでなく、その方策についても法人とともに議論させていただいておりますので、引き続き整備が促進するように支援してまいりたいと考えております。
(3)ショートステイの整備について
大津市ではショートステイのニーズが高まっているにもかかわらず、施設は3箇所しかなく、第4期計画においても整備は思うように進んでいません。
ショートステイは親のレスパイトや自立に向けての訓練、定期的な利用により在宅での生活を保つことが出来るなど様々な理由で利用され、地域で生活するためには無くてはならないものですが、ショートステイの整備数が充分でないため、週末など利用者が集中するときは、3分の1程度お断りしたり、定期的に利用されている方に利用頻度を減らしてもらうようお願いしている事業所もあります。
入所施設の建設が見込まれない中、今後は単独型ショートステイの整備が必要になります。しかしショートステイはグループホームと違い家賃収入がなく、主たる収入は介護報酬だけであるため、施設の整備・運営は非常に厳しい現状があります。
①ショートステイの整備促進のために、単独型ショートステイに対する家賃補助など助成を行う必要があります。見解をお聞かせください。
【答弁】
市の単独事業となることから、助成につきましては困難であると考えております。
【再問】
このままでは整備も進まない。ショートステイが必要だと思っているなら通所施設など日中活動系のサービスには家賃補助を行っているのだから、同様に家賃補助をおこない、整備が進むよう支援すべき。行わないなら何か他に支援は考えておられるのか。
【再答弁】
ショートステイの整備拡大についてでございますけども、当初の議員のご質問にございましたように、大津市につきましては入所施設が1か所でございまして、基本的に全国的な傾向で言いますと入所施設に併設をしてショートステイをされてるってのが多いでございます。で大津市の場合はそれがどちらかと言うと地域支援を重視してきたっていういままでの経過がございますので、単独型のショートステイとなっている関係でなかなか経営が厳しいっていうことは認識をしております。
ただ先ほども申しましたけども、この事業を、例えば加算等の補助を出そうっていうことになりますと市の単独事業となります。となってきますと、例えば日中作業所等々の現在出して、交付してます家賃補助等との関係もございまして、例えばこれはまだ議論にはいたってませんけども、全体的な整理、見直しをする中で、例えばその重点的に足らないところ、例えばショートステイとかグループホームに重点的に加算をするとかっていう、全体的な整理の中でそういうことが可能かなっていう考えておりますが、現状では市の、新たにショートステイだけを単独で補助するってことは困難であると考えております。
ショートスティ事業所の1つ、「ショートステイむくの木」は建築基準法に合っていない建物だとのことで、早急に移転が迫られています。
移転先が見つからなければたちまち地域での生活に支障を来たす方々もおられます。最近では行政や虐待防止センター、相談支援事業所からの被虐待ケースの緊急受け入れ要請もあり、重要な役割を担っています。移転場所についても半数近い利用者は自分で通所されているため駅に近い場所が望ましく、また送迎バスやヘルプで利用される方のための駐車スペースも必要です。バリアフリーにも配慮があり、各部屋の配置はできるだけ職員の目が行き届きやすいことなどが求められます。
②ショートステイむくの木の移転がスムーズに進むよう大津市として事業所に聞き取りをし、必要な支援を行うべきと考えます。市としての認識と具体的な支援についてお聞かせください。
【答弁】
「ショートステイむくの木」の移転、事業継続に向け、法人と協議を行っており、引き続き、法人とともに対応策について検討してまいります。
【再問】
時期については事業所と話し合い、いつまでにという見通しを立てて支援しているのか。
【再答弁】
日中の事業所でございますけども、例えば移転に伴いまして別の土地等が必要であるという事業所もございまして、基本的には法人が自ら次の移転先の土地を探していただくというのが原則であると考えておりますが、このショートステイの事業所っていうのは、先ほど申し上げましたように大津市にとっても重要な事業所でもございますので、例えば情報提供等を併せまして比較的速やかに移転ができるように支援をしたいと考えております。
(4)障がい者の居住サポート体制の充実について
グループホームや入所施設が不足している中、一定の自立の力を持っておられる方は一人暮らしやシェアハウスを希望する方が増えてきています。しかし障がい者が一人暮らしを始めようと住宅を探しても障がい者というだけで断られてしまったり、バリアフリーの物件を探すのに苦労されている現状があります。大津市障害者自立支援協議会においても、地域移行部会を設置して県の不動産団体の代表と大津市の民間の不動産業者を交え話し合いが持たれました。その中ではまず行政、福祉、不動産業者という異なった業種が互いに連携していくこと、そして障がい者の住まいの場の確保のためには滋賀県といった広域ではなく、大津市に居住支援協議会を設置することが不可欠であるという結論が示されました。
①大津市はこの間の議会答弁で、市としての居住支援協議会は作らないという姿勢を示してきました。しかし国は以前から、中核市は自ら自立支援協議会を設立するよう求めています。居住支援協議会の設立状況を見ると、昨年11月には17区市町で設立されていましたが、今年9月には22区市町に増えています。大津市も積極的に検討すべきです。今でも居住支援協議会は作る必要がないとお考えでしょうか。
【答弁】
居住支援協議会の設置についてでありますが、本年6月通常会議において、佐藤弘議員のご質問にご答弁いたしましたとおり、広く県域で不動産情報を提供することで、住宅確保要配慮者のかたがたにとって、選択肢が増えることにつながることから、本市で設置する予定はございません。
【再問】
県は県であればいい。市として居住支援協議会を作り、住宅・福祉部局や地域の民生委員など関係者団体と連携を取ったネットワークを作ることでその後のフォローも丁寧にできるのではないか。
【再答弁】
市でつくるべきではないかについてでありますが、この滋賀県の居住支援協議会につきましては、これも以前からご答弁申し上げてるとおり、県への積極的な働きかけを市から行いをさしていただいているところです。特に今年度、平成29年度は県の支援協議会、これ当然市も参加をさしていただいてるんですが、その中では今年度の事業計画で「滋賀あんしん賃貸ネット」の登録物件を拡大、さらにこの9月13日は、その部会が開催され、そこにも市が行って、その積極的な働きを行っているところです。その結果、大きくは2つ、平成29年に滋賀県のほうで入居支援の相談窓口を設置をされまして、住宅確保要配慮者と民間賃貸住宅のマッチングを進めていくということ、それともう1つは国土交通省の説明会の内容をそこで説明されるとともに今後県のほうで、県賃貸住宅供給促進計画を策定する予定である旨の説明を受けたところです。引き続き、この滋賀県の居住支援協議会がさらに住宅確保要配慮者の住宅の確保について働きかけを行っていきたいと、そのように考えております。
②仮に居住支援協議会を作らないとしても、障がい者一人ひとりに対して、具体的な居住確保支援やその後のフォローが必要です。行政と不動産業界と福祉業界が地域密着型で連携して取り組む体制を整備するために、まずは大津市がイニシアチブをとり、障がい者の居住サポート体制を充実させることが必要だと考えます。見解をお聞かせください。
【答弁】
現在、障害者の地域移行を円滑に進めるため「障害者自立支援協議会・地域移行部会」で、協議を行っており、引き続き障害者の居住サポート体制の充実に努めてまいります。
【再問】
どう充実さすのか。現状の居住サポート事業は市から委託されている事業所が物件探しや不動産業者とのやり取りなどの手伝いをしているがそれ以上の継続的な支援は安い委託料の下で体制上もなかなかできないなど不十分。グループホームに入居している人は支援の対象外になっていることも問題と思われる。行政、不動産業者や保証会社、病院、保健師、地域の民生委員など色んな立場の人が入ったネットワーク体制を作って、保証人の問題や1人暮らしの方の24時間体制の見守りなどそれぞれの専門性を生かして障害者の暮らしを支えていくべき。イメージとして居住支援協議会の障がい者版のようなものが必要だと思う。そういった形での充実を求めるが見解は。
【再答弁】
議員ご指摘のございました居住サポート事業でございますけども、これにつきましては居住支援コーディネーターを委託で配置をしておりまして、ご指摘いただいておりますような役割といたしまして、例えば行政ですとか不動産業界、例えばその福祉関係者と障がい者の方とのつなぎ役、サポート体制をつくっていただくっていうのが主な委託業務の趣旨でございます。ですので、この大津市の独自事業につきましては引き続き継続をする形で支援を進めてまいりたいと考えております。