給付製奨学金の拡充を(一般質問①) |
質問終わりました。何回やっても汗びっしょりです。給付制の奨学金については他の自治体の調査はするといいましたが大津市では大学まで拡充するつもりはないと願いに背を向けた答弁でした。以下、質問と答弁です。
(1)給付制奨学金制度の拡充について
今、日本の大学の学費は、初年度納付金は、国立で83万円、私立は文系約115万円、理系約150万円にも上っています。児童のいる世帯の平均所得は1996年と比べて2013年には約100万円も減少しているにもかかわらず(厚生労働省「国民生活基礎調査」)、大学の初年度納付金は10万円も増えています。
親からの援助だけでは足りず、学費や生活費をまかなうために、今や学生の2人に1人が奨学金制度を利用しています。また、アルバイトで無理をして学業に支障が出ている学生もいます。それでも経済的理由から進学を断念する高校生、大学等を中退する学生は後を絶ちません。奨学金を借りて進学したものの、卒業後に返済に苦しむ若者も急増しています。
日本共産党滋賀県委員会と民青同盟滋賀県委員会は今年、滋賀大学教育学部や膳所駅前、瀬田フォレオ前などで学費・奨学金アンケートを行い、約100人の若者から声を聞き取りました。大学生からは「学費が高すぎる」「奨学金が返せるかどうか不安」「学費を工面するためバイトで勉強や睡眠時間を削っている」「学費が安い大学にした」「進学をあきらめた友達がいる」など切実な声が寄せられました。私も何人かの青年にお話を伺いました。大学4回生のAさんは、月8万円の奨学金を借り、利子がついた返済総額は516万7586円で、20年かけて返済するとのことです。社会人4年目のBさんは借りた350万円の奨学金を月1万6千円ずつ返済しているとのことですが、手取りの給料は20万円弱、そこから家賃、生活費などを支払い、その上奨学金を返すのは大変、仕事をやめるようなことがあったら、とても払っていけないと言われていました。ほかにも卒業後の奨学金の返済額が800万円や1000万円近くになるという学生もあり、高い学費や貸与制の奨学金は大きな問題だと改めて感じました。また、双子の高校生を持つ母親からは「一度に多額の学費が払えるか不安だ」との声があり、学生だけでなく子どもを持つ世代の方たちも学費に大きな不安を抱えていることがわかりました。
学費と奨学金をめぐる問題は子どもの貧困問題とも関係し、その解決を求める世論も高まり、返済不要の給付制奨学金の創設を求める声は日に日に強まっています。そうしたなか、安倍政権は大学生を対象にした月3万円を給付する給付制奨学金の検討を始めました。しかし対象者は約2万人で、有利子、無利子奨学金の利用者約130万人のわずか1.5%程度にしかならない規模です。
お金の心配なく安心して学べる環境を作ることは、憲法に定められた教育を保障するためにも、また、格差と貧困を是正し、公正な社会を実現していくためにも急務となっています。奨学金制度の拡充を求め、以下質問します。
①このように高すぎる学費や奨学金の返済に苦しめられる若者が急増している実態について、大津市はどう認識しているのかお伺いします。
【答弁】
平成28年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」では、家庭の経済事情、本人の能力などに応じて依然として無利子奨学金を受けられない学生がいること、あるいは、社会に出た後の返還負担に不安を覚え奨学金を受けることを躊躇する学生がいることなどが示されており、現代日本社会の大きな問題であることを認識しております。しかしながら、教育委員会としましては、大津市の若者の奨学金の返済状況等につきましては調査を行っておらず、把握はできておりません。
②誰もがその能力に応じて等しく教育を受ける権利を保障するため、大津市として学費が払えず中退した学生や奨学金返済を滞納している方などの実態を把握し、手立てをとるべきと考えますが見解をお聞かせください。
【答弁】
教育委員会といたしましては、議員お述べのとおり、誰もがその能力に応じて等しく教育を受ける権利を保障することは大切なことであると認識しております。しかし、学費が払えず中退した学生や奨学金返済を滞納している方の調査につきましては、個人情報に関わる内容の調査であること、また、その対象を特定することが困難であることから、実態の把握は考えておりません。
【再質問】
調査はできてないということだが、学生の苦しい状況を認識をしているなら手を打つべき。次期総合計画の基本的計画案の中に、子どもの貧困対策として「経済的困窮状態にあることが原因となり、社会的・文化的な経験や学習・教育・進学等の機会が剥奪されたりしている子どもが大人になったとき、貧困に陥ることがないように「貧困の連鎖」を断つための取組を進めます」と書かれている。とりわけ奨学金については教育委員会がイニシアをとって調査すべき。
【再答弁】
議員おっしゃるように、調査をし、実態把握をしその施策を講じるべきであるというふうなことですが、先ほど申し上げましたように私たち教育委員会は、まずは義務教育の子どもたちの状況をしっかり把握し、その子どもたち一人ひとりの教育を保障する、それがまずは前提だろうというふうに思っております。
その上に立って、できる限りのとこで調査を進めてまいりますが、先ほど申し上げましたように、やはり調査の限界もあります。ただ、限界があるからといってやらないということではなくて、その工夫をしまして、調査のほうを今後、検討はしていきたいというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、個人情報でありますとか義務教育を終了した子が相当の年数を経ってるというふうな中で、調査の困難性が予想されます。そういった中で何ができるのかということを含めて、今後、検討していきたいというふうに思っております。
【再々問】
他の自治体に良い事例があれば調査を考えるのか。
【再々答弁】
先行されている他の自治体がどのような調査をされているのか、ということを一度、私どものほうで調査をさしていただいて、これはやれそうだということがあれば取り入れながら、具体的に進めていきたいというふうに思っております。
③大津市には高校生に対する給付制奨学金の制度があります。一人当たりの支給額や対象人数、資格、周知の方法や課題についてお聞かせください。
【答弁】教育委員会では、向学心が強く能力があるにもかかわらず、経済的事情により高等学校へ進学することが困難と認められる生徒に対して、一人当たり月額7,000円を高等学校に在籍する期間3年を限度として給与しております。
対象人数は毎年20名程度で、申し込み時の資格といたしましては中学生および保護者が大津市民であり、次年度高等学校に進学する予定であること、経済的な理由により学資の支弁が困難と認められること、学業成績・操行ともに良好で健康であることが条件であります。周知につきましては、「広報おおつ」や各市民センターにてお知らせするとともに、大津市立中学校、県内の国立・私立中学校への校内掲示用と保護者向け案内のちらしを配布し、周知徹底に努めております。課題といたしましては、現在、必要に応じて高等学校とも連携を図っておりますが、高等学校進学後の状況把握が難しいということがあげられます。
【再質問】
たったの20人しか対象となってない。就学援助金をもらっている中学生は2000人以上いる。これで充分と思っているのか。今後増やしていく考えはあるのか。
【再答弁】
ここ5年間を見てみますと、平成24年度で75名、25年度には80名、26年度は69名、27年度が94名、28年度が70名、の方の応募がございました。だいたい21名から22名程度、いわゆる先ほど申し上げましたように、学業成績でありますとか素行とかそういった書類を見せていただきまして、20人程度ということで毎年推移をしております。この件については原資もあることですので、今後は充分検討していきたいというふうに思っております。
【再々問】
原資があると言うことだが2000人対し、20人は少ない。今後増やしていってほしい。見解を。
【再々答弁】
いまおっしゃったように、就学援助を受けたり、生活保護のご家庭というふうなことが対象になるやに思いますが、そういった中で現在は20人というふうなことで、できるだけ増やすような方向では考えていきたいというふうには思いますが、やはりいままでの経過もございますし、子どもたちの実態、状況をしっかり把握しながら、その方向で検討をしていきたいというふうに思っております。
滋賀県では湖南市や甲賀市など4市町において、高校生にとどまらず、専修学校、高等専門学校、短期大学、大学にまで支給対象を広げ、給付制の奨学金制度が実施されています。また今、国の地方創生関連予算などを活用し、独自の給付制奨学金を創設する動きが他の自治体にも広がっています。実施する自治体に一定期間、居住・就労することを条件に、大学生に奨学金を給付する制度や、卒業後の奨学金返済を肩代わりして事実上の給付とする制度など新たな制度が作られています。たとえば宇都宮市では月2万円を支給し、卒業後市内に5年間暮らせば返還を免除する、鹿児島県では日本学生支援機構の地方創生枠の無利子奨学金を借りた学生が、大学卒業後、県の基幹産業で3年就職すれば奨学金の返済を全額肩代わりするなどです。大津市においても若者の定住を進める観点など、様々な角度からの検討を望むものです。
④今、求められているのは市として大学にまで給付制奨学金や入学支度金の制度を創設すること、現在の制度についても対象などを拡充することです。見解をお聞かせください。
【答弁】
現在、教育委員会が行っております奨学金の制度は、高等学校進学を希望しながら経済的事情により困難な状況の中学生の進路保障を目的としているものであります。制度拡充や入学支度金等の新制度創設につきましては、現在、国でも低所得所帯の大学生らを対象とする「給付型奨学金」の制度設計について検討されていることから、今後の動向を注視していきたいと考えております。
【再質問】
国が考えているのは対象たった2万人で有利子、無利子奨学金の利用者約130万人のわずか1.5%程度にしかならない規模である。湖南市や甲賀市は1000万円の予算を組んでいる。総合計画の基本計画案には「若者のエネルギーがまちづくりに活かされ大学卒業後の就労先として本市が選ばれるよう市内での就職率アップを目指します」とかかれている。若者の定住や就職率アップを目指すなら、産業観光部とも連携をとって検討すべき。
【再答弁】
いまの学生の状況をつぶさに調査をまだまだしておりませんが、議員お述べのとおり、困っている学生がいるということは確かです。そういった中で、行政が施策を講じていくということは、当然求められていることは私たち充分認識しております。教育委員会は、先ほども申し上げたように義務教育の子ども、ということをまず支えていくということですし、今後は他の部局とも充分連携をとりながら、調査を進めていきたいなぁというふうに思っております。
とりわけ大津市民病院付属看護専門学校に対する大津市の責任は重大です。1953年に開校されてから長年にわたり多くの卒業生を生み出し、多くの医療・介護分野で貢献されてきました。来年度から大津市民病院付属看護専門学校も大津市民病院、大津市立介護老人施設ケアセンターおおつとともに地方独立行政法人に移行されそのあり方が検討されるとのことです。
⑤今後在宅看護も増えてくる中、看護師不足を解消するためにもの大津市民病院付属看護専門学校の果たす役割は重要だと考えます。学費が払えず、大津市民病院付属看護専門学校への進学をあきらめることがあってはなりません。大津市として本校への給付制奨学金制度の創設を求めるものです。見解をお聞かせください。
【答弁】
現在、学生の奨学金等の利用状況は滋賀県看護職員修学資金貸付制度や日本学生支援機構による奨学金制度などが設けられ、これらを活用されておりますことから、大津市民病院付属看護専門学校に修学する学生に対して、新たに本市の奨学金制度を創設することは考えておりません。
【再質問】
独立行政法人化することで今まで通り看護師が充分確保できるのか見通しがもてない。大学には学費が高くていけない若者もいると思う。もし看護学校がなくなれば看護師の確保ができないと病院職員からも聞いている。大津市が責任を持って今後の市民病院の看護師の確保、地域医療を支える看護師を確保するためにも大津市民病院付属看護専門学校への奨学金制度は有効だと考える。以前に奨学金制度もあったということなので前向きに検討を。
【再答弁】
本市が実施する在宅療養を進めるためにも、看護師の養成は重要であるとは認識しております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、当該学校におきましては総学生数の変化もありません。一定の割合で先ほど申し上げました奨学費制度を活用されている現状があります。本学の学生以外の学生も含めまして、新たな奨学金制度は考えておりません。