遅くなりました・・・「7月13日に行った調布市と多摩市の視察報告」 |
調布市のごみ処理施設について
クリーンプラザふじみは庁舎に隣接、住宅地の中にあり、大津市でいう「迷惑施設」といった考え方とはほど遠く、多くの緑に囲まれた施設であった。施設運営はふじみ衛生組合がおこなっている。施設はストーカー炉で1日当たり144トン×2炉の焼却能力を持っており、ごみの焼却によって発生する熱を回収し、電力として工場内で使用するだけでなく、余剰電力を電力会社等に売電している。施設整備・運転業務・維持管理はDBО方式を採用、大津市も同じように2017年度からDBО方式でごみ処理施設の整備・運営事業を行う予定であり、建設の経過や運営など学ぶべくお話を伺った。
事業を進めるに当たっては基本計画策定段階から「新ごみ処理施設整備基本検討委員会」を設置し、住民アンケートなどもおこない市民とともに事業を推進されていた。周辺住民との関係については敷地境界概ね500メートルの町会、自治会等から推薦された市民21名と公募市民4名の計25名の市民とふじみ衛生組合職員が協議を行う「地元協議会」を設置し、定期的に協議会や施設見学会が開催され、「工事協定書」「公害防止協定書」を締結するとともに、現在も「ふじみまつり」や「花いっぱいプロジェクト」を協働で実施されていることは見習うべきことである。
ごみ減量についても積極的で、焼却施設の規模もできる限り小さくされていた。プラスチックごみについて大津市は燃やす方向で考えられているが調布市ではまずはリサイクルということで、プラスチックごみを入れる袋は無料にするなどの工夫がされていた。
また、民間事業者の管理監督については組合に経験ある職員がいるからこそできるのであって、今後も技術管理者を複数入れたいとの思いはわれわれも同感であり、大津市にも求めていきたいところである。
多摩市の公契約条例について
多摩市では阿部市長の選挙公約の1つとして公契約条例の制定が掲げられ当選、内部の多摩市公契約制度調査検討委員会、外部の多摩市公契約制度に関する審査委員会を設置し、2012年度から施行された。現在は多摩市公契約審議会が年間5回開かれ、労務報酬下限額や公契約条例に係る重要事項などが審議されている。審議会では労使両方からの声を聞くことができ、丁寧な議論ができているとのことである。
条例を作るに当たっては事業者、労働者だけでなくすべての市民に、公契約条例を作ることで労働者は生活が安定し、事業者は適正な競争による経営の安定が得られ、市民は安全・良質なサービスを受けることができることを理解してもらうため丁寧に取り組んでこられた。また条例制定当時は最低賃金が生活保護費を下回る逆転現象が今は解消されたため、労務報酬下限額の考え方を見直し、審議会でどこを基準とするのか議論してもらい、業務の質の確保等が行える、業務内容に応じた複数の下限額設定をおこなうものとした。委託料もかかるなら最低賃金でもいいのではといった声に対し、委託費は必要経費であり、いいサービスにつながることを理解してもらうため日々取り組んでいるとのことであった。
検討課題として労務台帳を毎月提出する大変さ、労務報酬下限額の考え方、条例の適応労働者の範囲、条例の周知方法などまだまだ課題はあるとのことだが、多摩市の公契約条例は市と受注者が相互に対等平等な関係にあること、公権力的規制ではなく契約にのっとった「規整」だと言われたのが印象的であった。大津市においてもよりよい地域社会を作り上げていくといった視点でぜひ公契約条例をツールとして活用していけるよう今後も働きかけていきたい。