6月定例会議最終日の議案7件請願4件の反対討論 |
長いですが、委員長報告に対する反対討論、読んでもらえると嬉しいです。
議案第108号 平成27年度大津市一般会計補正予算(第3号)です。本補正予算には皇子山中学校体育館の屋上防水の機能保全のために工法変更することに伴う追加経費や風疹抗体検査の公費負担経費、中小企業振興にかかる取り組みを進める経費などの必要な予算が盛り込まれています。
しかし一方で、琵琶湖疎水通船施行事業に関連した観光振興調査費49万3千円が計上されています。通船事業の見通しが明らかではない状況下で、その目的や方針が明確ではない調査費の計上は、現時点で必要ないと考えます。また中学校給食の導入に向けた校舎等改造の概略検討の費用1380万円が計上されていますが、現在自校方式で給食を実施している学校についてはセンター方式に統合していく検討もおこなうとしています。調理室をはじめ現施設は有効活用すべきであり、こうした調査検討は不要と考えるものです。加えて介護老人保健施設ケアセンターおおつや公設卸売市場の民営化については反対の立場であり、民営化に向けての可能性や課題整理などの調査検討に必要な予算を一般会計からそれぞれの会計に繰り入れをおこなうことを含むことには反対です
議案第108号 平成27年度大津市一般会計補正予算(第3号)に対する修正案
提案理由とされている両事業費についての考え方(琵琶湖疎水通船施行事業に関連した観光振興調査費と中学校給食の導入に向けた校舎等改造の概略検討の費用は不要)には賛同するものですが、先に述べたように介護老人保健施設ケアセンターおおつや公設卸売市場の民営化については反対の立場であることから、民営化に向けた調査・検討費を含んでいる修正案なので反対
議案第109号 平成27年度大津市卸売市場事業特別会計補正予算(第1号)
公設卸売市場は民間経営による卸売市場時代の全国的な高物価のまちから、生鮮食料品の流通を改善、適正価格で安定供給することで市民の安定的な暮らしを支えてきました。そうした事業の目的、役割に照らしても極めて公益性の高い施設です。公設で事業を進めてきたことによる信用度は高く、市民の安心の担保でもあります。今後さらに市内で農業振興・地産地消を推進していくためにも、その役割は終わっていないといえます。市場関係での雇用の継続、税収という点でも大きな影響が及ぶことも心配されます。市場を取り巻く環境には厳しいことがあることは理解していますが、民営化の目的は人件費削減であり、民営化することで事業者は儲けを上げるためにさらに人件費削減がおこなわれることにつながります。結局は市場で働く人たちの雇用条件が低下することになります。入場業者をはじめ市場関係者とも連携を強化しながら、公設で事業継続すべきであり、本補正予算が民営化に向けた課題整理や基本方針の検討、市場調査の推進のための経費を計上することから反対です
議案第110号 平成27年度大津市介護老人保健施設事業会計補正予算(第1号)
介護老人保健施設ケアセンターおおつの民営化についても、本会議で議論がありました。ケアセンターおおつが抱える経営課題を解決するために取り組みを検討する必要性については否定しませんが、公営の本施設がこれまで担ってきた先駆的な役割は大きいものがあります。老々介護など課題を抱える高齢者や介護する家族の急病などへの対応など、公でこそ果たせる役割があります。
今後ますます進むであろう高齢化において、介護保険のサービス以外のサービスや補完サービスの充実が求められます。介護する家族の多様なニーズに応える体制づくりが地域包括ケアシステムの構築においても大きな課題となってきます。今、日本の介護保険制度は民間活力により支えられていますが、民間企業は介護報酬の算定にかからないこと、すなわち利益の上がらないことには、そこに社会的ニーズが存在しても手を出さないでしょう。たとえば夜間の見守りや巡回を行う訪問看護、平日のナイトデイサービス、ヘルパー養成や実習の受け入れなどです。こうしたインフォーマルなサービスを育てていくことが、今後行政の役目として必要になってくると考えられます。セーフティーネットの拠点施設として、経営改善の努力をおこないながら、安心して高齢者が暮らし続けることができるよう公営にて事業を継続すべきであると考えることから、民営化に向けた市場調査や基本方針の検討・調査のための経費を計上する本補正予算には反対です。
議案第112号 大津市市民活動センター条例の一部を改正する条例の制定について
市民以外の方が市民活動センターの会議室などを使用する場合の利用料の上限を定めるというもので、い
わゆる市外料金を設定するものです。市外の方が大津市に訪れて、大津市の施設を活用しようとされることは、施設の稼働率をあげ、施設本来の役割を果たすことからも、歓迎すべきことであり、市外の方を差別すべきではないと考え、本議案に反対。
議案第114号 大津市児童福祉法に基づく児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例及び大津市児童福祉法に基づく家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について
特に家庭的保育事業など小規模保育の場合、保育園や幼稚園とは異なり、限られた職員数、環境となることから、より高い保育の専門性が求められると思います。保健師や看護師と並んで准看護師も1名のみであれば、保育士にみなすという条例改正ですが、保育される児童が0~2歳児という低年齢児であることからも、保育は本来の専門性を有する保育士が従事すべきです。むしろ基準を引き上げることも検討されるべきだと考えるもので、本条例改正には反対です。
議案第119号 大津市水道事業、下水道事業及びガス事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例の制定について
今般、次期水道ビジョン策定のため、水道事業経営検討委員会が設置され、給水量、給水収益の減少という状況下で水道料金の値上げも避けられない要素として改定が盛り込まれ検討されるとのことです。市民生活を支える水道事業は、地域経済の疲弊が続く元では、採算性重視の経営ではなく、福祉型で安定的な管理運営が求められると考えます。よってこうした検討委員会の設置は必要ないと考え、本条例改正に反対します。
請願第7号 子どもの医療費を小学校卒業まで無料にすることを求めることについて
本会議でも議論しましたが、厚生労働省が3月末に公表した全国の自治体の調査結果では、中学校卒業まで医療費無料の自治体がこの10年で11自治体から103倍の1134自治体に増えたことが明らかとなりました。これは全自治体の65%に当たる数字です。今や全国では高校卒業まで無料の自治体も201自治体に上っており、少子化対策にしっかり位置づけされてきています。滋賀県は全国的にみても下位のランクですが、この数年で急速に拡充する自治体が広がっています。県内では外来については、小学校3年生までが2市、小学校卒業までが2市町、中学校卒業までが3市町、豊郷町においては昨年10月から高校卒業まで無料となりました。入院については、中学校卒業までの無料化が15の市町に広がっています。しかし大津市は現在、入院についてはこの1月から小学校卒業まで拡充されましたが、外来は小学校3年生までとなっており、いずれも小学生については一部負担があり、県下の中でも非常に遅れています。経済的な負担を心配して受診が遅れることは、子どもたちの健やかな成長・発達に影響を及ぼし、ひいては医療費が増大することにつながります。拡充して1年間程度は医療費や受診率が増加しますが、その後は減少に転じるということは、すでに知られていることです。財政状況が厳しいことを理由にして拡充に取り組まれないとされ、まずは小学校6年生まで滋賀県に対して補助制度の拡大を求めていくとのことですが、子育て安心、住み続けたいまち大津市をめざし、未来への投資として子どもたちの医療費無料化制度を小学校卒業まで拡充させるべきです。よって本請願を不採択とした委員長報告に反対です。
請願第8号 戦争につながる安全保障関連2法案(国際平和支援法、平和安全法制整備法案)の廃案を求める意見書の提出を求めること、及び、
請願第10号 「集団的自衛権の行使を具体化する安全保障法制案を廃案にす
ることを求める意見書」の提出を求めること
この2件は内容が関連していることから一括して討論します。現在国会で審議されている安全保障関連2法案は、憲法9条が定めた戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認の体制を根底からくつがえすもので、市民から強い不安と危惧の声が寄せられています。法律専門家からは、憲法9条違反だとする違憲が圧倒的多数を占めています。6月4日の国会の憲法調査会では政権与党の参考人を含む3名の憲法学者全員が、政府提出の安全保障法制を憲法違反と断じました。また、12日には山崎拓(やまさきたく)自民党元幹事長や政調会長、閣僚などを務めた4氏がこの戦争法案について「国策を大きく誤ることになる」(山崎)などの声明を発表し、法案反対の意思を表明しました。
法案は、特に自衛隊の活動について、活動領域において地理的な限定がなく、「現に戦闘が行われている現場」以外のどこでも行われ、従来禁じられていた「弾薬の提供」も可能になるなど、自衛隊が外国の軍隊と緊密に協力して支援活動を行うことが想定されています。これは明らかに「外国の武力行使と一体化」しているとみられ、自衛隊員を憲法違反の危険な活動に送り出すことになると考えます。
大津市は、際川の自衛隊駐屯地をかかえ、自衛隊員とその家族、関係者が多く暮らしておられます。その方々から、不安と危惧の声が寄せられているのは当然です。その声に応えて大津市議会が意見書を提出する意義は大きいと考えます。
そして今会議の杉浦議員の安保関連法案の質問に対する市の答弁は「国政において議論されるべきもの」というもので、大津市として意見を言うべきものではないと受け取れる答弁でしたが、この安保関連法案は、地方公共団体にとっても重要な問題を含んでいる法案なのです。例えば武力攻撃事態対処法には「武力攻撃事態等及び存立危機事態への対処について、国、地方公共団体等の責務など」を定めています。この「存立危機事態」というのが集団的自衛権に関わる部分で今回加わっています。そして第3条で「武力攻撃事態等及び存立危機事態への対処においては、国、地方公共団体及び指定公共機関が、国民の協力を得つつ、相互に協力し、万全の措置をとらなければならない」と定めているのです。この措置とは、「物品、施設または役務の提供その他の措置」というのですから、何でも行う義務があるということで大きな問題です。国会審議の中でも「存立危機事態」の中身は全く明らかになっていません。時の政府が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」と判断すれば、自治体もその方針に従い、「万全の措置」を取る義務が生じるのです。このように、大津市の行政と市民にとって重大な影響をもたらす法案について、「国政において議論されるべきもの」と傍観する事は許されません。地方から声を上げることは非常に大切なことであることから、両請願を不採択すべきとした委員長報告に反対するものです。
請願第9号 福井地方裁判所の「再稼働差し止め」決定を尊重し、高浜原発3号機及び4号機の再稼働をしないことを求める旨の意見書を提出することについて
福井地方裁判所が4月14日にだした高浜原発3号機及び4号機の運転の差し止めを命じる仮処分決定を発令したことは非常に大きな意味があります。しかしこの仮処分決定を受けてもなお、安倍内閣と関西電力は再稼働の方針を変えておらず、市民から不安の声が出されています。高浜原発で事故が起こった場合、大津市民とびわ湖が大きな被害を受けることは、滋賀県のシュミレーション調査でも明らかになっています。また、避難計画は自治体の仕事とされていますが、大津市においても実効性の
ある避難計画を立てることができていないのが実態です。高浜原発の再稼働は大津市民のいのちと暮らしに大きな影響を与える問題であり、市政の重要課題として位置づけるべきです。よって、大津市議会が意見書を採択する意義はきわめて大きいと考えるものであり、不採択すべきとした委員長報告に反対をします。